「ショルダーフォン」から「スマホ」へ。30代に突入した携帯電話
30年間で通信機器はこんなに変わった〈後編〉
■固定電話やファクシミリは意外に変化がない? 携帯電話は激変
ここまで、固定電話、ファクシミリ、携帯電話の進化の歴史を見てきた。将来的にはどうなるのだろうか。
NTT東西が提唱する固定電話網のIP化は、2020年度を目処に開始されると言われている。しかし、固定電話やファクシミリに関しては、機能面においてそれほど大きな変化があるとは考えにくい。この二つはすでに形状や機能が完成されており、かつ用途が限定的だからだ。
既に海外の企業では、Eメールやビジネスチャットの利用が一般的であり、固定電話やファクシミリでのコミュニケーションは少数派になっている。 ただし日本では印鑑の文化が強いため、引き続きファクシミリに対する需要は続くのではないだろうか。
一方、携帯電話は処理性能やデータ通信の速度が飛躍的に向上し、さらに小型化していくと考えられる。特にスマートフォンは、頭脳にあたるARM系CPUが急速に進化しており、AIやIoTと言った新興分野との親和性も高い。今後スマートフォンは、単なるコミュニケーション機器から、人間の思考や行動をサポートするアシスタントへと進化していくのではないだろうか。
形状も徐々にウェアラブル化(身に着けるタイプ)していくことが予想され、 肉体の一部のように身にまとうタイプが主流になるかもしれない。
通信機器は、人間の根源的な欲求である「他者とのコミュニケーション」を支えるもの。固定電話やファクシミリといった比較的アナログな技術も、引き続き「設備」として使用されていくだろう。
一方、スマートフォンは、AI・IoTといった先端技術と融和しながら小型高性能化が進み、徐々に「肉体の一部」に近づいている。通信機器が二極化する中で、人間が場所や時間といった制約から完全に解放される日もそう遠くはないのかもしれない。
携帯電話の「2040年の形」はジャーナリストの西田宗千佳氏に聞く。
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